オオカミからペットへ
もともと、犬の祖先は野生のオオカミでした。
自然の中で生き、群れで暮らす「オオカミ」から、人に従い、人と共存する「ペット」に移り変わったのは、はるか昔、数十万年前までさかのぼります。
数頭から数十頭にわたり、犬の祖先オオカミは、1頭のリーダーを筆頭に群れを成して生きてきました。
群れをまとめるリーダーには、仲間を守る強さはもちろんの事、危険を察知する鋭敏な勘と、仲間を思いやる優しさも持ち合わせていなければなりません。
犬は本来、仲間とコミュニケーションを取りながら、助け合い、生活する動物なので、仲間との結びつきは、他のどの動物よりも強いです。
しかし、情に流されてばかりでは仲間を守り切れないため、時には、仲間を見捨てる冷酷な判断をせざるを得ないのです。
自然の摂理といえば、それまでですが、野生を生きるということは、それほど過酷で危険に満ちています。
そんな中、比較的性格の穏やかなオオカミが、食べ物を分け与えてくれる人間に懐き、代わりに危険な動物たちから人間を守るようになりました。
そうすることで、自分たちの食糧と安全を確保し、常に危険と隣り合わせの野生の暮らしから、より危険の少ない人間との共存を選んだのです。
人と暮らすようになった「犬」は、オオカミの荒々しさも影を潜め、今まで犬同士のコミュニケーションとして行ってきた「しぐさの会話」も、より人間に好まれるように変化していきました。
それについで、姿形にも人の手が加わり、大きな目や耳、顔立ちへと「愛玩犬」として可愛らしく変貌していきました。
これが「ペット」の始まりです。